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グロースカルチャークラブ

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L. 岩澤有徑のコラム

世界で最も有名な現代美術作品が京都にある話、

 

私は、最先端の美術とは何かと言う勉強をしています。私が展覧会を行っていますと、お客様から「こういうのモダンアートというのですか?」と質問されます。そこで私は、「現代美術というのですよ、」というと、「それならうちの孫が朝、描いた絵も現代美術言うんですか?」と突っ込まれます、「そこはちょっと違いまして、現代美術という名前の学問なんですよ、」と答えています、

アメリカのタイムという有名雑誌社が、世界で最も影響を与えた20世紀美術作品ベスト1に選んだのは、マルセル・デュシャンの”泉”という作品です。 マルセル・デュシャンは、1887年にフランスに生まれて、パリの美術学校に行ったのちニューヨークに移住しました。1917年に出品料を払って持ってきた人のすべての作品を展示する展覧会の委員を務めていましたが、こっそり、R.MUTT という名前で出品しました。ところが、これは美術作品ではないということから展示されませんでした。

さて渦中の"泉"とは、こんな作品です。トイレの器具がどうして?と不思議に思うでしょ、自分で描いた絵や自分で作った彫刻作品を出品するのが当たり前の展覧会に設備屋さんで売ってる物を出品したので大笑い!恥ずかしくて搬出日になっても取りに行かなかったので処分されてしまいました。現在残ってるのは、この写真1枚だけです。(実は、MOTT WORKS という設備メーカーがあり、バカという意味のMUTTによくあるリチャード・マットという名前をなぞらえたのが、R.MUTTなんですが、完全に滑ってる感じ?)

ところが、その後、いろんな人からあの作品をもう一度作って欲しいと依頼され1964年(実に47年の時をへて、)にフランスのシュバルツ画廊と相談し、いくら探しても同じものは手に入らないので、陶芸の会社に注文して再制作し、8個限定番号付きで販売することになりました。(実は、その後作家用の予備や再々制作を行い世界で17個存在!)レーディーメードと言われていた既製品を持ってくるだけという作品ですが、再製作する際は、「オーダーメード」となりました。様々な経緯があり8点再制作されたうちの1点がなんと京都国立近代美術館に収蔵されています。もちろん日本では、他にありません。

改めて作品のタイトルを考えると、”泉”というのですが、皆様は、どんなことを想像しますか? 私は、、森の中の地面から透明な水がコンコンと現れて周りは、爽やかな緑の景色かな、、、と想像していたのですが、それならなんでこの作品、泉なのかな、と疑問に思い、英語で "Fountain" と表記されているのでヨーロッパの友人にFountainというとどんなこと想像する?と質問すると「街角にある水が出る場所で、子供が手を洗ったりボールを洗ったりする場所、」 と答えてくれました。

レオクラブの皆さんは、この謎解きをどう思いますか? アメリカのタイム誌は、どうして世界でもっとも影響を与えた20世紀美術にこの作品を選んだのか? 今までは、額縁に入った絵を『見る』ことが美術鑑賞でしたが、作品の前で考えることが『現代美術』という新しいムーブメントを作ったからなのか、謎は深まるばかりです。*英語では、現代美術のことを、"Contemporary Art" と呼びます(ちなみにこの泉は、いったいいくらするのか?1964年再制作の8点のうちの一点が1997年に海外のオークションで1億9400万円で落札された経緯があります。)

ヨーロッパの街角にある"Fountain"とは、こういうものかな?

いわさわありみち/京都鉾町ライオンズクラブメンバー/現代美術家

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